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2026/10/29

「2026年 日本のデータセンター現場人材 業界動向レポート」を公開しました

「2026年 日本のデータセンター現場人材 業界動向レポート」を公開しました

データセンターの建設・設置・保守を担う現場の人材について、政府の統計や制度資料、各社の公開情報をもとに整理しました。建設・電気工事の担い手の減少、在留資格や資格試験の見直しなど国の対応、業界の育成講座や点検ロボットなどの省人化の動きと、それでも残る課題をまとめています。

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Two Sheep株式会社は、データセンターの現場を支える人材の動向をまとめた「2026年 日本のデータセンター現場人材 業界動向レポート」を公開しました。10月に公開した「2026年 日本のデータセンター・AI計算基盤 業界動向レポート」の続編です。前回のレポートで課題として挙げた「機器を受け入れ、設置・保守する現場の担い手不足」について、政府の統計・制度資料や各社の発表などの公開情報(2026年10月時点)をもとに、当社が独自に整理しました。

要点

  • 対象:データセンターの建設、サーバーの設置・配線、電気設備や機器の保守を担う現場の人材(いわゆる「ITブルーカラー」)
  • 建設業の技能者は1997年の455万人から2024年には300万人に減少しました。電気工事業者の約7割が人手不足と答えています(国土交通省・経済産業省の資料)
  • 国は特定技能の受入れ拡大、2027年4月に始まる育成就労制度、電気工事士試験のCBT化などで担い手の確保を進めています
  • 業界でも、日本データセンター協会の講座、石狩のデータセンターコンソーシアム、点検ロボット、コンテナ型データセンターなどの動きが出ています
  • ただし育成には年単位の時間がかかり、高密度化・液冷化で作業も難しくなっています。当社では、当面は外部の現地作業サービスの活用も現実的な選択肢の一つと考えています

1. 現状:データで見る現場人材の不足

世界:半数以上の事業者が「有資格者を見つけにくい」

Uptime Institute が2026年7月に公表した第16回グローバル・データセンター調査(2026年4〜5月実施)では、データセンター事業者の53%が「求人に見合う有資格者を見つけにくい」と答え、前年の46%から増えました。今後12か月の懸念として「有資格スタッフの不足」を挙げた割合は、「非常に懸念」26%、「ある程度懸念」43%です(いずれも世界全体の数字で、日本単独の内訳はありません)。同社は、有資格者の不足がプロジェクトの遅れや運用の難しさにつながりうると指摘しています。

同社の2025年の人材調査では、最も不足し、離職率も高いのは施設部門の若手層だとされています。

建設コンサルタントの Turner & Townsend が2026年10月に公表したデータセンター建設コスト指数(2026–27年版、62市場)では、東京が1ワットあたり18.28米ドルで世界で最も高く、大阪が17.15米ドルで2位でした。日本が首位となるのは4年連続です。同社が400人超の業界関係者に行った調査では、81%が「地域の熟練労働者がある程度または大きく不足している」と答え、電気・機械設備(MEP)の職種が最も求められていると報告しています(世界全体の回答)。

日本:建設・電気工事の担い手が減っている

データセンターの建設や電気設備の工事を担う人材は、国内で減り続けています。

  • 建設業の就業者:1997年の685万人をピークに、2024年は477万人。うち技能者は455万人から300万人に減りました。55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまります(国土交通省、総務省「労働力調査」に基づく)
  • 求人倍率:2025年度の有効求人倍率(常用、パート含む)は、全職業の1.10倍に対し、建設・採掘の職業は5.02倍でした(厚生労働省)
  • 将来の不足:政府は、建設分野で2028年度に約312万人の技能者が必要となる一方、確保できるのは約276万人で、約36万人が不足すると見込んでいます(2026年1月23日の閣議決定に基づく分野別運用方針)。日本建設業連合会は、2035年度に技能者が約129万人不足すると試算しています(業界団体の試算)
  • 電気工事:経済産業省の委託調査(2024年度)では、電気工事業者の約7割が人手不足と回答し(「大いに不足」26.1%、「やや不足」44.4%)、採用活動をした企業の約8割が目標人数を確保できませんでした
  • 働き方改革:2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が適用され、一人あたりの労働時間に上限が設けられました

日本電設工業協会の2026年度事業計画は、データセンターなどの設備投資が堅調な一方で、技術者・技能者の高齢化と若年入職者の減少により現場の人員不足が深刻化していると述べ、技術者や施工能力の不足による入札不調にも触れています。

経済産業省は、2040年に事務職が約440万人余る一方、生産・建設などの「現場人材」が約260万人、AI・ロボットを活用する人材が約340万人不足する可能性があると試算しています。現場人材の不足は地方で大きいとされており、前回のレポートで取り上げた「データセンターの地方分散」と重なる点に注意が必要です。

一方で、見方は一様ではありません。NTT Global Data Centers の Yasuo Suzuki 氏は、東京周辺の開発で電力の接続待ちと建設能力の不足が大きな障壁になっていると述べています。JLL の Fuminori Asaki 氏は、日本で大きな工期遅れが起きることは極めてまれだとしています(いずれも Data Center Knowledge の2025年9月の記事より)。

2. 対応:国・業界・技術の3つの方向

国の対応1:外国人材の受入れ拡大

  • 特定技能(建設分野):「ライフライン・設備」の区分には、電気通信・電気などの設備工事が含まれます。2029年3月までの受入れ上限は7万6,000人で、2026年7月末時点(速報値)で建設分野の特定技能外国人5万2,366人が在留しています
  • 育成就労制度:技能実習制度に代わる新制度で、2027年4月1日に施行されます。3年間で特定技能1号の水準まで育成する仕組みで、建設分野では「電気設備施工」の技能も対象です。建設分野の育成就労の受入れ上限は12万3,500人で、特定技能1号の7万6,000人と合わせて19万9,500人です(いずれも2029年3月まで)
  • 工業製品製造業:2024年3月の閣議決定で分野が再編され、「電気電子機器組立て」などの区分があります

ただし、経済産業省の調査では、外国人技術者を雇用している電気工事業者は回答企業の3.2%にとどまり、活用はまだ限られています。

国の対応2:資格試験と保安ルールの見直し

  • 電気工事士試験:2023年度からCBT方式を導入し、2024年度からは第一種も年2回の実施になりました。2025年1月からは、筆記試験の免除が「次回」から「次の2回」に延びています。試験を実施する電気技術者試験センターは、2027年度から筆記試験を原則CBTのみにすると発表しています(2026年4月8日)
  • 第一種電気工事士の実務経験:2021年4月から、学歴にかかわらず一律3年以上に短縮されました
  • スマート保安:遠隔監視などを条件に、2025年度から、月1回が目安だった外部委託の点検を3か月に1回の訪問とすることが認められました(設備更新計画などの条件があります)

国の対応3:職業訓練と地方の拠点づくり

  • 公共職業訓練:2024年度(速報値)に離職者向け訓練の電気分野を受講したのは6,887人です。たとえばポリテクセンター福島の「電気設備技術科」は、6か月・661時間で配線、シーケンス制御、受変電設備の保守などを学べます(受講料は無料、教科書代などは自己負担)
  • ワット・ビット連携:総務省・経済産業省の取りまとめ(2025年6月)は、地方のデータセンターが、デジタル人材育成やデジタル産業誘致の拠点になりうるとしています。GX戦略地域の公募に寄せられた要望の例には、地方での専門人材の配置要件の緩和、施工リソースの確保、外国人材の受入れ手続きの迅速化などが挙がっています(要望の整理であり、決定した施策ではありません)
  • 建設現場の省人化:国土交通省の「i-Construction 2.0」(2024年4月)は、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進める目標を掲げています

なお、政府のデジタル人材育成は、2022〜2025年度の累計で244万人と目標を上回りました。ただし2026年4月に改訂された「デジタルスキル標準 ver.2.0」は、データ管理やAIの活用を中心としたもので、データセンターの設備運用を担う職種は定義していません。当社の整理では、データセンターの現場の仕事は、建設・電気工事・ITの各制度のはざまにあるといえます。

業界の対応1:育成講座と地域の連携

  • 日本データセンター協会(JDCC):経験のある会員が講師を務める「データセンター構築・運用講座」を開いています。2026年度は11月13日から2027年3月12日まで全5回で、8月31日に満員となりました。運用・設備などの職種ごとのスキルレベルを定めた人材育成ガイドラインも公開しています
  • AWS:学生向けの「AWS Academy Data Center Technician」日本語版の提供を2024年11月に発表しました。AWSに限らない、サーバーやネットワークの基礎を学ぶ内容です
  • 石狩データセンターコンソーシアム:北海道石狩市と、さくらインターネット、NTT東日本など地元のデータセンター・電力・通信の11社が2026年7月28日に設立しました(GMOインターネットが後に参画)。データセンターに必要な技術者の育成、データセンター間の人材交流、雇用の創出に取り組むとしています
  • 北海道・苫小牧:北海道とソフトバンクは2024年2月に包括連携協定を結び、データセンターによる産業振興や次世代デジタル人材の育成を連携項目に挙げています。苫小牧工業高等専門学校は、周辺で大規模データセンターの建設が進んでいることを背景に、2026年度から情報・電気系を統合した定員80人の「情報エレクトロニクス系」を設ける計画を示していました
  • 地元雇用:経済産業省のメディアによると、福島県大熊町のAI福島は、GPUサーバーへの補助金の条件として地元から10人を雇用することになっています

業界の対応2:ロボットと設計による省人化

  • 点検ロボット:NTTデータは、品川のデータセンターで点検ロボットを試行し、設備点検の手作業を約50%削減したと発表しました。この取り組みは2025年1月に「インフラメンテナンス大賞」の総務大臣賞を受けています。NTT西日本は2026年7月、データセンターなども対象にした点検ロボットの月額パッケージの提供を始めました
  • 遠隔操作ロボット:NTTコミュニケーションズ(現 NTTドコモビジネス)など4社は、運用・保守の人材確保が難しくなっていることを背景に、商用データセンターで遠隔操作ロボットによる機器保守の実証(2023年10月〜2024年3月予定)を発表しました。IIJは千葉県の白井データセンターキャンパスで、2019年度に警備ロボットの実証を始めました(2020〜2022年の業界報道による)
  • コンテナ型データセンター:さくらインターネットは、石狩のコンテナ型データセンターを計画から約1年6か月で完成させ、2025年6月に稼働を始めました(2016年の石狩3号棟は約3年3か月)。KDDIも、大阪・堺のデータセンターで建屋内にコンテナ型データセンターを設け、2027年度にNVIDIA HGX Rubin NVL8を導入する計画で、工期を大幅に短くすることを目指しています

業界の対応3:データセンター事業者の現地作業サービス

多くのデータセンター事業者は、お客様の代わりに現地で作業するサービスを用意しています。

  • Equinix の「Smart Hands」は、機器の設置・撤去、電源の入れ直し、配線、配送の手配などを提供しており、スタッフ常駐の施設では24時間365日対応しています
  • アット東京は、障害時の一次対応、荷受け、ラック内の配線、機器の設置・撤去などを、24時間365日、日本語と英語で請け負っています
  • NTTドコモビジネスの Nexcenter には、標準提供の「ベーシックリモートハンズ」と、ラッキングや部品交換などに対応する「アドバンスリモートハンズサービス」があります

海外の例

  • 米国:Northern Virginia Community College は、データセンター運用を専攻する2年制の課程を設けています。Microsoft は、データセンターのある地域のコミュニティカレッジなどと「Datacenter Academy」を運営しています
  • アイルランド:TU Dublin と Amazon のデータセンター技術者プログラム(夜間2学期とデータセンターでの14週間の実習)は、TU Dublin によると2026年で10周年を迎えました
  • Equinix:2026年3月、技術者育成の世界的な連合や見習い(アプレンティスシップ)制度など、人材育成の取り組みの拡大を発表しました(開始市場に日本は含まれていません)

3. 課題:育成が追いつくまでの「空白」をどう埋めるか

国も業界も対応を進めていますが、当社の整理では、次の点が当面の課題として残ります。

  • 育成には時間がかかる:育成就労は2027年4月の施行で、3年をかけて育成する仕組みです。講座や高専の新しい課程も、修了者が現場の戦力になるまでには年単位の時間が必要です
  • 規模の差:JDCCの講座は満員になり、各地の取り組みも始まったばかりのものが多くあります。建設分野だけで約36万人とされる不足に比べると、まだ小さな動きです
  • 作業の難易度が上がっている:1ラックあたり数十kWを超える高密度化や液冷化で、配管・電源・光配線を伴う作業が増えています。Equinix も2026年10月の液冷検証施設の発表で、冷却・電源・ネットワーク・設備運用を組み合わせて動かせる専門性を持つ企業は少なく、どれか一つが欠けても導入が止まりうると述べています
  • 地方への分散:新しいデータセンターは郊外や地方にも広がっていますが、現場人材の不足は地方ほど大きいとされています

とくに海外から日本に参入する事業者にとっては、短期間に集中する大量の機器の搬入・設置、夜間や休日の障害対応、日本語以外での現地とのやり取りなどが、自社だけでは手当てしにくい点になりえます。

4. Two Sheep株式会社の取り組み

Two Sheep株式会社は、東京都江東区青海のテレコムセンタービルに本社を置き、日本で機器を運用するお客様の「現地の手」として、次のサービスを提供しています。自社で現場の体制を持たなくても、必要な時に必要な作業をご依頼いただけます。

  • 24時間365日の現地作業(リモートハンズ):東京・大阪のデータセンター(Equinix の TY・OS 各拠点、アット東京 CC1・CC2、NTT など)で、サーバーの設置(ラッキング)、配線、部品交換(RMA)、動作確認などに対応します
  • IT機器の国際輸送と輸出入通関:海外からデータセンターまでの輸送、通関、搬入をまとめて手配します
  • データセンター間の移設、IPトランジット・専用線の手配、光モジュールの販売(ModuleSheep)
  • 日本語・英語・中国語での対応:海外のお客様と日本のデータセンターとの間の調整を当社が担います

これまでに、Equinix TY8 からアット東京 CC1 への本番サーバー100台の移設(計画メンテナンス時間内に完了)や、中南米・カリブ地域16か国29拠点へのネットワーク機器のドア・ツー・ドア配送・通関、香港 Equinix HK3 でのコールド/ホットアイルの封じ込め・ケーブルラック・電源配線の施工(2026年6月完工)などを担当してきました。

主な出典

本レポートについて

  • 本レポートは、政府の統計・制度資料、各社のプレスリリースや報道などの公開情報(2026年10月時点)をもとに、当社が独自に整理したものです。将来の不足人数などは各機関の推計・試算であり、各制度や計画は今後変更される場合があります。
  • 記載の企業名・団体名は業界の動向を説明するために挙げたもので、当社との取引関係を示すものではありません。記載の社名・施設名は各社の商標または登録商標です。
  • お問い合わせ:Japan@2sheep.jp、または当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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